舞台監督について
舞台の設営・進行などを、演出家の意図に沿って統括し指示・監督する人を「舞台監督」と言います。
一般の方々にはなじみの薄い仕事かとは思いますが、公演を進行する上では非常に重要な存在です。
公演の成功か否かを左右する・・・と言っても過言ではないと言えます。
しかし、その存在の重要性はあまり理解されていないようです。
公演を安全かつスムーズに進行させるためにも、舞台監督は必要です。
歌舞伎などでは「狂言作者」という人が、その役目をします。
舞台監督の仕事
実際の舞台監督の仕事には、一般的に次のようなものがあります。
- 演出家との打ち合わせ
- 出演者との打ち合わせ
- 技術者との打ち合わせ
- ホールなどとの打ち合わせ
- 制作部と連絡しあい、公演に必要な機材や物品・スタッフの調達
- 運搬・搬入・搬出・設営などの段取り
- リハーサル・本番の進行
- 安全管理
公演の規模や内容によりこれらの項目は変わってはきますが、要約すれば「本番のスムーズな進行」がその大目的です。
一般的に小屋付きは、小屋の外でリハーサルへの立ち会いや打ち合わせなどはできません。
よって、公演内容に深く関わることはできず、演出意図などもよく理解できない場合が多いのです。
一度でも小屋で通しリハーサルが行われていればある程度の把握はできますが、そうでない場合はまさに「ぶっつけ本番」になってしまいます。
また、照明や音響の各スタッフは、舞台監督のキューを頼りに機材の操作をします。
なぜならば照明や音響の各スタッフは、ほとんどの場合舞台から離れたブースで操作を行っているため舞台の様子が分かりづらく、さらにそれぞれが勝手な判断で操作を行ってしまうと公演全体の意識の統一ができず、結果として公演が失敗してしまったり、最悪の場合事故にもつながってしまうのです。
そう言った、演出家や出演者とスタッフとの橋渡しをするのも、舞台監督の重要な役目です。
このように、舞台監督は公演にとって不可欠な存在であるといえます。
舞台監督をプロに依頼できない場合、主催者若しくは出演者サイドのスタッフの中から舞台監督を選任しなくてはなりません。
この場合には、公演(演出)内容を充分に把握し、舞台監督の仕事に専従できる人を選ばなくてはいけません。
舞台監督は常に舞台袖に待機し、各セクションとの連携をとりつつ、公演を進行させます。
よくある例なんですが、我々小屋付きと主催者との打ち合わせで「舞台監督はいられますか?」と聞くと、「はい、います。」というお答えをもらっていたところが、いざ当日になって「舞台監督も出演しますのでよろしく!」・・・
これは困ってしまいます。
これでは舞台監督とは言えません。
我々小屋付きは舞台機構に関しては精通していますが、公演内容に関してはほとんど未知の場合が多いのです。
また、船頭が多くて複数の方から指示が出される・・・
これも困ってしまいます。
開演ベルを鳴らすタイミング、緞帳の上げ下げ・・・
これらは、確かにボタンひとつでできます。
が、意図しないところで緞帳があがってしまったりしたら・・・公演が台無しになってしまいますね。
こういった進行や演出上の判断は、小屋付きにはできません。(アドバイスはできますが・・・)
舞台監督は、一人の専従者とアシスタント2〜3名を用意するのが理想的です。
安全管理
舞台監督のもう一つ重要な仕事に「安全管理」があります。
労働安全衛生法では、舞台は建築現場に準ずる取り扱いをされています。
電気工事あり、高所作業あり、重量物あり・・・
それらの作業を安全に遂行するための指示・監督を行うのも、舞台監督の仕事です。
各セクションの業務が作業日程や標準作業に則って行われているか、安全対策(安全帯や安全帽の着用など)は万全か・・・
もしこれらを怠っていて事故が起こった場合、監督責任者(職長)としてお縄になる場合もあります。
また、非常時(地震や火事など)に会館職員や主催者などと連携をとりつつ、公演の続行・中止の決定や、初期消火・避難誘導をしなくてはなりません。
まとめ
スムーズな公演の進行は、公演内容をしっかり把握した舞台監督さんが不可欠です。
舞台監督を用意できないときには、舞台責任者を選任し、関係部署との連絡を密にしつつ安全に進行を管理しなくてはなりません。
しつこいようですが・・・
舞台監督(舞台責任者)は必要不可欠である